英領なる文献
前々から書いていた小説が第3者の視点の反応を知るためにこのブログを作ろうと思いました
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二日前だった。
いつもの様に裏路地に突入し、それから帰ってくると。
「おかえり、今回の成果はどうだったのかしら」
いつもの位置に占い師はそこにいた。
「スライム型を2体にスパイダー型1体だ」
「群れていたのかい?」
占い師はちょっと不思議そうに聞く。
「あぁ、さすがにあの数はびっくりしたよ」
そう苦笑いしながらも無傷で帰ってくるのはすごい。
「おかしいですね。スパイダー型は基本的に待ち伏せの単体行動のはずですが」
「そうなのか? 今まであったやつはたいてい単体で来たやつは少なかったぞ。大半が複数いたが」
それを聞いた占い師は少し表情を曇らせた。
「もしかして…いいえ。そんなはずは……、しかしその答えしか……」
占い師はそうブツブツと自問自答しながら呟く。
「あ、あの〜、一人だけの世界に入らないでもらいたいんだが」
そう呆れながら無影が言うと。
「あぁ〜、すまないね。ちょっと気になることがあってね」
「まぁ、いいんだけどね」
「そうそう、貴方は武術の心得はあるわよね?」
「これまた突然にどうしてそんなことを?」
急に話の内容が変わって無影は呆れていた。
「まぁ、聞きなさい。今度の日曜日にある武術大会がある。そこに影の気配があると占いで出たの。さすがにあの子だけじゃ心配だからあなたにもこの大会に出てもらいたい」
その話を聞いて無影の表情が真剣なものになった。
「そう言う事なら別に出場しても構わんが。あんたの言うあの子とは?」
「それは言うわけにはいかないわ。一応、これは私の勝手な心配だから名前を言うわけにはいけないのよ」
「はぁ。やはりか」
無影は手をパタパタさせながらその答えが分かりきったような反応をして、占い師の前のテーブルに置いてある武術大会の紹介チラシを手に取った。
「え〜っと、出場者は現地になんとしても到着すること……どういうことだ?」
訝しげに首を捻りチラシの文字の続きの説明文を見る。
「尚、出場者はその駅に来た時から既に予選が開始したものとする。なんてめちゃくちゃな内容なんだ」
「そうかしら、その方が一番手っ取り早いと私も思うわよ」
占い師はニコニコしながら言うが、無影の表情は呆れ返っていた。
「はぁ、銃器、遠投武器、後は刃物系が使えないだけましか。あんな物が出てきたらとんでもないことになるからな」
そう言いながら説明を熟読する。
「どう。出てくれるかしら?」
「出るのは構わんが、今回の報酬はどうなるんだ?」
「そのことなら安心しなさい。私の依頼ということで報酬は出すわ。でも、今回の影はおそらく強いですよ。それでもやる?」
占い師は真剣な表情で無影を見据えると、無影はお守りを握り締めて一言。
「もちろん」
そう言ってチラシを鞄の中に入れた。
「それじゃ、よろしく頼むわね」
「あいよ」
無影は鞄を担いでゆっくりと家路に向かった。
「あんた、これでいいのかい?」
「えぇ、これであの子はまた一つ成長を遂げてくれるはず」
ゆっくりと、暗い裏路地からまた別の人物が出てきた。
「あの子にはもうチャンスはないんです。だから、勝ってもらわないと」
「そうね。でも、貴方もまた酷な役目を背負っているわね」
占い師は、そう言いながら何かを見透かすように水晶をじっと見つめる。
「貴女ほどじゃないわ」
同じように占い師の心を見透かす様に言うと。
「うふふ、言ってくれるじゃないですか」
少し笑みを浮かべながら裏路地にいるヒトの方を見た。
「私も帰るわね」
「そうしなさい。貴方も表の仕事があるのでしょう」
「そっちの方はもう期限に間に合わせるようにやっているから大丈夫よ」
そう言って表街道の人の群れにとけこんで消えた
いつもの様に裏路地に突入し、それから帰ってくると。
「おかえり、今回の成果はどうだったのかしら」
いつもの位置に占い師はそこにいた。
「スライム型を2体にスパイダー型1体だ」
「群れていたのかい?」
占い師はちょっと不思議そうに聞く。
「あぁ、さすがにあの数はびっくりしたよ」
そう苦笑いしながらも無傷で帰ってくるのはすごい。
「おかしいですね。スパイダー型は基本的に待ち伏せの単体行動のはずですが」
「そうなのか? 今まであったやつはたいてい単体で来たやつは少なかったぞ。大半が複数いたが」
それを聞いた占い師は少し表情を曇らせた。
「もしかして…いいえ。そんなはずは……、しかしその答えしか……」
占い師はそうブツブツと自問自答しながら呟く。
「あ、あの〜、一人だけの世界に入らないでもらいたいんだが」
そう呆れながら無影が言うと。
「あぁ〜、すまないね。ちょっと気になることがあってね」
「まぁ、いいんだけどね」
「そうそう、貴方は武術の心得はあるわよね?」
「これまた突然にどうしてそんなことを?」
急に話の内容が変わって無影は呆れていた。
「まぁ、聞きなさい。今度の日曜日にある武術大会がある。そこに影の気配があると占いで出たの。さすがにあの子だけじゃ心配だからあなたにもこの大会に出てもらいたい」
その話を聞いて無影の表情が真剣なものになった。
「そう言う事なら別に出場しても構わんが。あんたの言うあの子とは?」
「それは言うわけにはいかないわ。一応、これは私の勝手な心配だから名前を言うわけにはいけないのよ」
「はぁ。やはりか」
無影は手をパタパタさせながらその答えが分かりきったような反応をして、占い師の前のテーブルに置いてある武術大会の紹介チラシを手に取った。
「え〜っと、出場者は現地になんとしても到着すること……どういうことだ?」
訝しげに首を捻りチラシの文字の続きの説明文を見る。
「尚、出場者はその駅に来た時から既に予選が開始したものとする。なんてめちゃくちゃな内容なんだ」
「そうかしら、その方が一番手っ取り早いと私も思うわよ」
占い師はニコニコしながら言うが、無影の表情は呆れ返っていた。
「はぁ、銃器、遠投武器、後は刃物系が使えないだけましか。あんな物が出てきたらとんでもないことになるからな」
そう言いながら説明を熟読する。
「どう。出てくれるかしら?」
「出るのは構わんが、今回の報酬はどうなるんだ?」
「そのことなら安心しなさい。私の依頼ということで報酬は出すわ。でも、今回の影はおそらく強いですよ。それでもやる?」
占い師は真剣な表情で無影を見据えると、無影はお守りを握り締めて一言。
「もちろん」
そう言ってチラシを鞄の中に入れた。
「それじゃ、よろしく頼むわね」
「あいよ」
無影は鞄を担いでゆっくりと家路に向かった。
「あんた、これでいいのかい?」
「えぇ、これであの子はまた一つ成長を遂げてくれるはず」
ゆっくりと、暗い裏路地からまた別の人物が出てきた。
「あの子にはもうチャンスはないんです。だから、勝ってもらわないと」
「そうね。でも、貴方もまた酷な役目を背負っているわね」
占い師は、そう言いながら何かを見透かすように水晶をじっと見つめる。
「貴女ほどじゃないわ」
同じように占い師の心を見透かす様に言うと。
「うふふ、言ってくれるじゃないですか」
少し笑みを浮かべながら裏路地にいるヒトの方を見た。
「私も帰るわね」
「そうしなさい。貴方も表の仕事があるのでしょう」
「そっちの方はもう期限に間に合わせるようにやっているから大丈夫よ」
そう言って表街道の人の群れにとけこんで消えた
そうして、五人は会場に向かい途中に様々な攻撃があったが、苦もなく本大会会場に到着した。
「ほぅ、ココが大会の会場か〜。大きいな」
無影は上を見上げてその大きさを感じていた。
「観客動員数は約150人、VIPルームは20室。その席が準々決勝の時にはいっぱいになります」
「そして、その大半の観客は勧誘目的や邪魔者を排除しようと考えているやつらの巣窟と言う事ですよ」
会場の入口のほうから一人の青年が現れた。
「ようこそ、武術大会へ。あなた方は幾人者武道家たちの攻撃を乗り越えてきた精鋭達と言うこと、そして、栄光を手に入れる唯一の者たち……」
その青年は大げさにココまで来た無影のすごさを大きな身振りで手振りで表現をする。
「それで、あんたは何者だ?」
そんな青年の行動をあっさりと流して無影は聞く。
「良くぞ聞いてくれました。私の名前はエデン、この大会の主催者であり、この大会の発足者の子孫です」
「エデンという名前も偽名ですね……。エデンとは、日本語で言えば楽園という意味です。この大会の主催者には丁度いい名前ですね」
リオナは何かを見透かすようにエデンと名乗って言う人物を流し見る。
「そう詮索しないでほしいな」
そう言いながらリオナを観察するようにエデンも見る。
「まぁまぁ、そのくらいにしておきましょう」
紅葉はそう言いながら二人をなだめる。
「そ、そうですね。これは失礼しました。それではあなた方はこの大会には参加ということでよろしいでしょうか?」
エデンは今までの観察視する感じではなく、主催者としての行動を取る。
「参加登録ってものはあるのか?」
「参加者にはこれを着けてもらいます」
そう言ってエデンは無影たちに一枚のカードが渡された
「これは?」
無影は渡されたものをまじまじと見る。
「それは、フィールドパスです。それがある方は武道大会参加者とみなす証拠です」
「これを持っていると、休憩中であっても敵が襲い掛かってくるってわけだ」
「そう言う事です」
エデンは笑いながらそう言うと、面倒くさそうにパスを胸元につけた。
「これで良いか?」
「オーケー、さぁ行くのだ!! 戦人たちよ」
そう言って無影たちの行く道を指差した。
「そんじゃ、行くか」
無影たちはゆっくりと歩き出した。
そして本戦会場内
中はとても広く観客席が武道大会の壇上を囲うように設置されている。
「それにしてもこれは広いし天井が高いすぎだな…」
無影は天井を見上げながら準備運動をする。
「それだけこの大会は収益を上げているということですよ」
猗澄は無影に内緒で用意していたテコン道用のグラブをはめる。
「猗澄さん、もしかして今回のこと知ってたな」
「さてさて何のことでしょう」
ウキウキしながら猗澄も準備運動をする。
「それにしてもまだ観客は少ないな……」
望月は折畳み式の槍を組み立てながら観客席を見回す。
「あそこに居るのはおそらく観客じゃないわ」
近くにあったベンチに座っていた紅葉がそう言うとそれに賛同するようにリオナも頷く。
「あそこにいる人たちはみんな敵……」
「だろうな……。あんなに闘気が放っていたら誰でも分かるよな」
無影は軽く腰を捻りながら周りの状況を確認した。
(さてさて、問題はこの人の中からどうやって影を探し出すかだな)
無影は周りには闘争心溢れる連中しかいなかった。
「こりゃ探すのに苦労しそうだ」
無影はそう呟きながら木刀を振る。
観客席を見回して見ると浪牙の姿があった。
そして、浪牙はこちらの視線に気が付いたのか手を振って自分の存在をアピールした。
それに気付いた猗澄も手を振り返した。
『そろそろ始まるようね』
中央のスクリーンに主催者のエデンがスタッフ映し出された。
そして、何かの確認が終わったのかスタッフ達が持ち場に戻って行く。
『さぁ〜、苦難の道を乗り越えし戦士達よ。今、我はここで宣告する。この大会の最強の座が欲しいのならばのし上がれ。ここまで来れた者は既に最弱ではあらず、求めるのは最強の言葉のみ。そして、最強のチーム。これより第44回最刻武人大会を開始します。さぁ〜、闘志を燃やし戦へ戦達よ』
盛大な開会宣言に大会出場者は吠える者や静かに精神統一する者さまざまだった。
『それでは、今からルールの説明を行う。まずは、今回大会から新しく5人一チームと言う事は知っている人は知っていると思う。もし知らずに来たとしてもそれは別に構わん、今ここで組めばいいと言うだけだからな。そして、組終わった者から最寄りのスタッフにチームが出来た事を伝えてこのカードを貰いたまえ』
そう言うとスタッフ達にライトが当てられた。
『さぁ〜、それでは10分の時間を与える。さぁ〜、チームを作るのだ!!』
エデンがそう言うと一斉に出場者は動き出した。
そして、10分後
出場者はある程度固まってきた
『10分経過した。さぁ〜ココからが君らの本領が発揮されるときだ。そう、戦闘だ……君らはそのチームで何処までのし上がることが出来るか…。そして、そのチームをどれだけ信頼できるかな』
エデンの声色は試すようない言い方をした。
「さてと、俺らの対戦相手は誰だろうな」
無影はエデンのその言葉を無視して自分たちが戦う対戦相手を探し出した。
「そうですね。歯ごたえがある人だったらいいだけど」
猗澄は楽しそうに周りを見渡していた。
「こいつらか。俺らの相手は」
無影達の前に現れたのはガタイがいい男達だった。
「おめ〜らが俺達の対戦相手か?」
リーダー核のような男が無影に聞いて来る。
「あんたらがこの対戦台に来たんならそうだろうよ」
無影はリーダー核の男を挑発するような言い方をするが。
「だははは、おい、お前ら俺達は運がいいぜ。相手はこんなガキと弱そうなね〜ちゃんしかいないんだからよ」
男は威張りながら言うと、対戦相手の男達は一斉に笑い出した。
「ガキは大人しくお家に帰りな。マミ〜がお家で待ってるぜ」
さらに、無影達を馬鹿にする暴言を言うが全く動じなかった。
「それじゃ、先鋒は誰が出る」
無影は振り向いて言う。
「俺が行っていいか?」
望月がそう言って槍を持って立ち上がる。
「わかった。相手の力量の見極めをよろしく」
望月は了解」いう世に手を挙げて中央に歩いて行った。
中央に着くと相手チームの奴も木刀を担いで待っていた。
「へっへっへっ、槍使か。俺の綱刀で貴様を潰してやる」
そう言って木刀を突き付けた。
「あっそ、潰せるものなら潰してみな」 挑発するように睨み付けていると。
『お〜っと、既に至る所から闘争心が溢れ上がってるね。それじゃ、各フィールドのレフリー諸君。試合を開始したまえ』
エデンが開始の合図にレフリーが振り上げた手を振り下ろした。
それと同時に至る所から衝突音が響き渡った。
「先手必勝!!」
先に仕掛けたのは男の方だった。
男は持っていた木刀で横薙ぎをする。
「どっせい!!」
男の攻撃は望月の横を捉える。
「くっ」
睦月はその攻撃の直撃により少し苦痛の声を上げて、木刀で場外のラインの近くまで薙ぎ飛ばされた。
そして、あまりにも痛かったのか望月は、右膝をついて動かなかった。
「がはっはっはっはっ、やはりガキだけあって軽々と吹っ飛んだぜ」
そう言って威張りきったように木刀を担ぐ。
「無影、望月は大丈夫なの?」
さすがに心配そうに猗澄が聞いてくる。
しかし、無影の表情にはまったく動揺した色はなかった。
「これで、終わりだ!!」
男は一気に決着をつけるように望月に向かって走り出す。
「望月、もういいぞ。大体の実力はわかったからな」
無影がそう言うと、望月はニッと笑って立ち上がった。
「その言葉を待ってたぜ」
襲い掛かってくる男に向かってしっかりと槍を構える。
「今頃そんなことしても同じだ。お前の負けは俺様と当たった時点で決まってるんだよ」
「それはどうかな……」
突っ込んでくる男に望月も突っ込んでいく。
「馬鹿が、自分からやられに来るとわな」
そう言って男は木刀を振り下ろす。
「甘いのは貴様だ!!」
振り下ろされる木刀を紙一重で右にかわしその状態から左足から右足に体重を移動をして勢いをつけて槍を振るった。
「な!!」
さすがの男もそれには反応しきれず槍で吹き飛ばされた。
「やはり、重いな」
望月はそう言って槍を立てる。
「ぐっ、貴様よくも!!」
男は望月の攻撃に怒り、突撃してきた。
「俺を甘く見るからそんな目に逢うんだよ」
「だぁまぁれぇ〜〜〜」
男は大きく木刀を振り下ろすが、その攻撃は望月の軽やかに身を翻して避ける。
しかし、望月は後退しながら避けていた為、徐々に場外まで追いやられる。
「はぁ、はぁ…さぁ、追い詰めたぜ!!」
男は息を吐きながら言うと、望月はまったく追い詰められたのは思っていない表情をしていた。
「追い詰められたのが俺だって? 笑わせるなよ」
槍を構え直した望月は、哀れむように男を見る。
「これで終わりだ!!」
男は最後の一撃を繰り出した。
「だから甘いって言ってるんだ」
望月は男の攻撃は槍を使って受け止めて膝を使って衝撃をいなして受け流した。
そして、しゃがんだ状態から槍で足払いをすると。
「なっ!」
望月の攻撃で完全に態勢を崩した前のめりに倒れこむ。
「ぐっ」
男はそのまま倒れこむと場外で負けと直感して慌てて木刀で身体を支える。
「ほほ〜、よく場外しなかったな」
「けっ、お前の思い通りになるかよ」
「あっそ」
望月は持っていた槍で一突きして男を場外に落とした。
「勝者、望月!!」
望月たちがいるフィールドの審判が望月の勝利宣言をする。
「くっそ〜〜、このくそ餓鬼が!!」
そう言って男はフィールドに上がって望月に向かって殴りかかる。
「はぁ〜、往生際が悪いやつだな…」
望月は男に対して戦闘体制の槍を構えた。
「うぉぉ〜〜〜」
男は望月の構えも気にせずに猛進してくる。
「巌(がん)・双牙衝(そうがしょう)」
そう呟くと男は吹き飛ばされた。
望月の攻撃はあまりにも素早く鋭い攻撃だった為に男には見えていなかった様で直撃していた。
「まったく、大人しく負けを認めて貰いたいものですよ」
「ぐはっ……。き、貴様、何者だ!」
「この後、誰かが相手することになる無影だ」
無影は控え席から一瞬で舞台に出てきて望月が相手をしていた敵を吹き飛ばしたのだ。
それを見た対戦相手のチーム驚愕していた。
「う、嘘だろ……。あいつらの強さは半端じゃねぇぞ」
「お、おい次に出る奴は誰だっけ!?」
さすがに焦りだした対戦相手はこそこそと逃げようとするが出入り口は硬く閉ざされていた。
「さぁ、俺の相手は誰だ」
「し、審判」
対戦相手のリーダーが手を上げて審判を呼んだ。
「はい、なんでしょう?」
審判は対戦相手の男たちに駆け寄る。
そして、何やらもめているようだった。
「何でダメなんだよ。理由を言いやがれ!!」
「ですから、第一回戦では途中で棄権することは出来ないと説明を行っているはずです」
「そんなこと、どうでもいいんだよ。俺らは帰らせてもらう!!」
男たちは審判に食って掛かる。
その言い争いに無影が近付く。
「審判、提案があるんだが…いいか?」
「何でしょう?」
「俺一人でそいつら全員相手するって言うのはどうだ?」
その提案に審判と対戦相手も驚く。
「おい…てめ〜、舐めるのもたいがいにしろよ」
さすがにそれを聞いて感に障ったのか男達は無影を睨み付ける。
「そんなに睨んでも怖くもなんともないよ。逃げ腰の人たちにとってはね」
「この糞餓鬼が〜〜」
そう言って男達は舞台に引っ張り出された。
そして、無影に殴り掛った。
「おっと、焦らないでよ。小父さん」
無影が敵の攻撃を避けている光景を見ながら審判は無線で確認を取っていた。
「審判、まだOKでないんですか?」
「少々お待ちください……はい……ええ…」
無線からの声を必死に聞きながら交渉をしている。
「了解しました。無影チームから後一人舞台に4対2であれば許可するそうです」
そう言うと、控え席から誰かが走ってきた。
「よ〜し、暴れるよ〜」
舞台に上がってきたのは猗澄だった。
「あ、猗澄さん、手加減してくださいね」
「うん」
面々の笑みを浮かべながら言う。
(説得力ね〜)
さすがに呆れながら猗澄を見る。
「それでは特別試合開始」
審判が開始の挨拶をすると回避行動から戦闘体制に移った。
「女から狙うぞ」
一人の男がそう言うと2人がかりで猗澄を狙う。
しかし、猗澄はその行動に驚きもせずに対処に移った。
「戦略としては正しいけど、それはある意味で危険な策でもあるのよ」
襲い掛かってくる男たちを軽やかに受け流した。
そして「せい!!」と言う掛け声の後に襲い掛かってくる一人の男が宙に舞い上がった。
「なっ!」
一緒に襲ってきた男が宙に舞っている男を見て驚く。
「驚いている暇はないわよ」
そう言って、もう一人の男に接近して、攻撃の態勢を取っていた。
「これで終わり」
猗澄に襲い掛かってきた二人の男はあっさり敗れた。
「さてと、今度はあんた達だな」
無影を攻撃していた男たちと距離をおいた。
「このヤロ〜!!」
ある程度距離を置こうとしたが一人の男が突っ込んできた。
「ばか、よせ!」
この敵のチームのリーダーだった男が制止の言葉をかけるがその言葉を無視して男は突っ込んでくる。
無影は「ふぅ〜〜」と息を少し吐き、抜刀の構えで集中力を一気に高める。
「貰った!!」
男はすかさずトンファーで攻撃してきた。
しかし、無影はその攻撃の行動を無視して。
「……一閃」
そう呟くと無影は男の後ろにいた。
「な、何をしやが…た」
男はそう言うと持っていたトンファーを落とし倒れた。
「あんたの腹にこの木刀で一撃いれただけだよ」
無影は木刀を肩で担いでもう一人の方を見た。
「残ったのは俺だけか…」
リーダーの男がそう呟く。
「猗澄さんは手を出さないで下さいね」
「え〜、私も戦いたい」
不満そうな顔をしながら無影を見ると、無影の表情が少し楽しそうな表情をしていた。
「……」
無影の楽しそうな表情と真剣な顔を見て猗澄は戦うのを諦めた。
「あんた、あの中で一番できるな」
「それはお互い様だ。お前の名前はなんて言うんだ」
「そう言うお前は、名前を尋ねるなら自分から言うのが筋と言うものだろう」
睨み合う両者は、一旦武器を下ろした。
「そうだな、それじゃ、俺から名前を明かそう。俺の性は鴻(おおとり) 名は滉(こう)だ」
「今度は俺が名乗る番だな、俺の名前は……」
無影が名乗ろうとしたときだった。
「……来る」
無影たちの控え席からその呟く声が無影の耳に届いた。
次の瞬間、無影の目の前の滉と名乗る男の雰囲気が変わったのを感じた。
「無影…離れて」
リオナはそう口にすると舞台に歩み寄る。
「リオナさん、これは俺の戦いです」
リオナの方を少し向いた時だった、離れていた滉が一瞬で無影の所まで近付いていた。
「な!!」
急いで木刀を使って防御をするが滉の一撃は人が持つ力を超えていた。
「いって〜。いったいどうなってやがる」
「離れてって…言ったのに」
そう言ってリオナが舞台に上がろうとする。
「リオナさん、俺を甘く見ないで下さいよ」
そう言ってゆっくりと戦闘体制を取る。
「す〜…はぁ〜…す〜…はぁ〜…」
無影はゆっくりと深呼吸をすると体の内に問いかけた。
(リミッター解除。回避行動を最優先、会心の一撃だけを狙うんだ)
その問いを体に刻み込むように無影は体に力が入れる。
そして、無影の集中力が最高に達した時に滉が攻撃を仕掛けてきた。
(あの距離では避けれない。ココは私があの力を使って…)
「駿足(しゅんそく)」
無影がそう呟くと敵の攻撃をあっさりかわす。
「ちぃ、完全に避けきれなかったか」
そう言うと左の袖が少し破れていた。
「……」
滉は無言のままゆっくりと無影の方を向き。また攻撃を仕掛けてきた。
(さすがに、やばいな…。完全に避けくるつもりのやつを避け切れなかった。こりゃ〜、予想以上にやばいぞ)
そう考えながらも滉の攻撃を紙一重で何とか避けている。
「しゃ〜ないな。使うかね」
無影はバックステップをして滉から離れる。
「一撃必殺!」
右足を思いっきり踏んで、抜刀の構えを取る。
「激(げき)歩(ほ)!!」
俺がそう吼えた瞬間、無影は滉の後ろにいた。
「ふぅ〜、疲れた」
そう言うと、滉は場外に一気に吹き飛ばされた。
「な、何が起きたの」
それの光景を見たリオナは唖然としていた。
「ん? あれが俺の力の一つだぞ。って言うか、知らなかったのか?」
俺は頭を掻きながらゆっくりと舞台から降りる。
「しょ、勝利チーム。無影チーム」
審判がおくればしながら俺たちの勝利宣言をした。
(それにしても、滉の攻撃力と速度…異常だったな。シャドウと何か関係があるのか)
そんなことを考えながら俺たちは舞台から立ち去った。
歓声が沸いている観客席の後方から、俺たちが立ち去った方向を一人の人がいた。その者の格好は深くフードを被って姿を隠しているようだった。
「なかなか、強いですね……。今宵が楽しみです」
そう言いながら通路の奥に消えていった。
そんな事は誰も気付かずに俺たちは歓声を浴びていた。
「ほぅ、ココが大会の会場か〜。大きいな」
無影は上を見上げてその大きさを感じていた。
「観客動員数は約150人、VIPルームは20室。その席が準々決勝の時にはいっぱいになります」
「そして、その大半の観客は勧誘目的や邪魔者を排除しようと考えているやつらの巣窟と言う事ですよ」
会場の入口のほうから一人の青年が現れた。
「ようこそ、武術大会へ。あなた方は幾人者武道家たちの攻撃を乗り越えてきた精鋭達と言うこと、そして、栄光を手に入れる唯一の者たち……」
その青年は大げさにココまで来た無影のすごさを大きな身振りで手振りで表現をする。
「それで、あんたは何者だ?」
そんな青年の行動をあっさりと流して無影は聞く。
「良くぞ聞いてくれました。私の名前はエデン、この大会の主催者であり、この大会の発足者の子孫です」
「エデンという名前も偽名ですね……。エデンとは、日本語で言えば楽園という意味です。この大会の主催者には丁度いい名前ですね」
リオナは何かを見透かすようにエデンと名乗って言う人物を流し見る。
「そう詮索しないでほしいな」
そう言いながらリオナを観察するようにエデンも見る。
「まぁまぁ、そのくらいにしておきましょう」
紅葉はそう言いながら二人をなだめる。
「そ、そうですね。これは失礼しました。それではあなた方はこの大会には参加ということでよろしいでしょうか?」
エデンは今までの観察視する感じではなく、主催者としての行動を取る。
「参加登録ってものはあるのか?」
「参加者にはこれを着けてもらいます」
そう言ってエデンは無影たちに一枚のカードが渡された
「これは?」
無影は渡されたものをまじまじと見る。
「それは、フィールドパスです。それがある方は武道大会参加者とみなす証拠です」
「これを持っていると、休憩中であっても敵が襲い掛かってくるってわけだ」
「そう言う事です」
エデンは笑いながらそう言うと、面倒くさそうにパスを胸元につけた。
「これで良いか?」
「オーケー、さぁ行くのだ!! 戦人たちよ」
そう言って無影たちの行く道を指差した。
「そんじゃ、行くか」
無影たちはゆっくりと歩き出した。
そして本戦会場内
中はとても広く観客席が武道大会の壇上を囲うように設置されている。
「それにしてもこれは広いし天井が高いすぎだな…」
無影は天井を見上げながら準備運動をする。
「それだけこの大会は収益を上げているということですよ」
猗澄は無影に内緒で用意していたテコン道用のグラブをはめる。
「猗澄さん、もしかして今回のこと知ってたな」
「さてさて何のことでしょう」
ウキウキしながら猗澄も準備運動をする。
「それにしてもまだ観客は少ないな……」
望月は折畳み式の槍を組み立てながら観客席を見回す。
「あそこに居るのはおそらく観客じゃないわ」
近くにあったベンチに座っていた紅葉がそう言うとそれに賛同するようにリオナも頷く。
「あそこにいる人たちはみんな敵……」
「だろうな……。あんなに闘気が放っていたら誰でも分かるよな」
無影は軽く腰を捻りながら周りの状況を確認した。
(さてさて、問題はこの人の中からどうやって影を探し出すかだな)
無影は周りには闘争心溢れる連中しかいなかった。
「こりゃ探すのに苦労しそうだ」
無影はそう呟きながら木刀を振る。
観客席を見回して見ると浪牙の姿があった。
そして、浪牙はこちらの視線に気が付いたのか手を振って自分の存在をアピールした。
それに気付いた猗澄も手を振り返した。
『そろそろ始まるようね』
中央のスクリーンに主催者のエデンがスタッフ映し出された。
そして、何かの確認が終わったのかスタッフ達が持ち場に戻って行く。
『さぁ〜、苦難の道を乗り越えし戦士達よ。今、我はここで宣告する。この大会の最強の座が欲しいのならばのし上がれ。ここまで来れた者は既に最弱ではあらず、求めるのは最強の言葉のみ。そして、最強のチーム。これより第44回最刻武人大会を開始します。さぁ〜、闘志を燃やし戦へ戦達よ』
盛大な開会宣言に大会出場者は吠える者や静かに精神統一する者さまざまだった。
『それでは、今からルールの説明を行う。まずは、今回大会から新しく5人一チームと言う事は知っている人は知っていると思う。もし知らずに来たとしてもそれは別に構わん、今ここで組めばいいと言うだけだからな。そして、組終わった者から最寄りのスタッフにチームが出来た事を伝えてこのカードを貰いたまえ』
そう言うとスタッフ達にライトが当てられた。
『さぁ〜、それでは10分の時間を与える。さぁ〜、チームを作るのだ!!』
エデンがそう言うと一斉に出場者は動き出した。
そして、10分後
出場者はある程度固まってきた
『10分経過した。さぁ〜ココからが君らの本領が発揮されるときだ。そう、戦闘だ……君らはそのチームで何処までのし上がることが出来るか…。そして、そのチームをどれだけ信頼できるかな』
エデンの声色は試すようない言い方をした。
「さてと、俺らの対戦相手は誰だろうな」
無影はエデンのその言葉を無視して自分たちが戦う対戦相手を探し出した。
「そうですね。歯ごたえがある人だったらいいだけど」
猗澄は楽しそうに周りを見渡していた。
「こいつらか。俺らの相手は」
無影達の前に現れたのはガタイがいい男達だった。
「おめ〜らが俺達の対戦相手か?」
リーダー核のような男が無影に聞いて来る。
「あんたらがこの対戦台に来たんならそうだろうよ」
無影はリーダー核の男を挑発するような言い方をするが。
「だははは、おい、お前ら俺達は運がいいぜ。相手はこんなガキと弱そうなね〜ちゃんしかいないんだからよ」
男は威張りながら言うと、対戦相手の男達は一斉に笑い出した。
「ガキは大人しくお家に帰りな。マミ〜がお家で待ってるぜ」
さらに、無影達を馬鹿にする暴言を言うが全く動じなかった。
「それじゃ、先鋒は誰が出る」
無影は振り向いて言う。
「俺が行っていいか?」
望月がそう言って槍を持って立ち上がる。
「わかった。相手の力量の見極めをよろしく」
望月は了解」いう世に手を挙げて中央に歩いて行った。
中央に着くと相手チームの奴も木刀を担いで待っていた。
「へっへっへっ、槍使か。俺の綱刀で貴様を潰してやる」
そう言って木刀を突き付けた。
「あっそ、潰せるものなら潰してみな」 挑発するように睨み付けていると。
『お〜っと、既に至る所から闘争心が溢れ上がってるね。それじゃ、各フィールドのレフリー諸君。試合を開始したまえ』
エデンが開始の合図にレフリーが振り上げた手を振り下ろした。
それと同時に至る所から衝突音が響き渡った。
「先手必勝!!」
先に仕掛けたのは男の方だった。
男は持っていた木刀で横薙ぎをする。
「どっせい!!」
男の攻撃は望月の横を捉える。
「くっ」
睦月はその攻撃の直撃により少し苦痛の声を上げて、木刀で場外のラインの近くまで薙ぎ飛ばされた。
そして、あまりにも痛かったのか望月は、右膝をついて動かなかった。
「がはっはっはっはっ、やはりガキだけあって軽々と吹っ飛んだぜ」
そう言って威張りきったように木刀を担ぐ。
「無影、望月は大丈夫なの?」
さすがに心配そうに猗澄が聞いてくる。
しかし、無影の表情にはまったく動揺した色はなかった。
「これで、終わりだ!!」
男は一気に決着をつけるように望月に向かって走り出す。
「望月、もういいぞ。大体の実力はわかったからな」
無影がそう言うと、望月はニッと笑って立ち上がった。
「その言葉を待ってたぜ」
襲い掛かってくる男に向かってしっかりと槍を構える。
「今頃そんなことしても同じだ。お前の負けは俺様と当たった時点で決まってるんだよ」
「それはどうかな……」
突っ込んでくる男に望月も突っ込んでいく。
「馬鹿が、自分からやられに来るとわな」
そう言って男は木刀を振り下ろす。
「甘いのは貴様だ!!」
振り下ろされる木刀を紙一重で右にかわしその状態から左足から右足に体重を移動をして勢いをつけて槍を振るった。
「な!!」
さすがの男もそれには反応しきれず槍で吹き飛ばされた。
「やはり、重いな」
望月はそう言って槍を立てる。
「ぐっ、貴様よくも!!」
男は望月の攻撃に怒り、突撃してきた。
「俺を甘く見るからそんな目に逢うんだよ」
「だぁまぁれぇ〜〜〜」
男は大きく木刀を振り下ろすが、その攻撃は望月の軽やかに身を翻して避ける。
しかし、望月は後退しながら避けていた為、徐々に場外まで追いやられる。
「はぁ、はぁ…さぁ、追い詰めたぜ!!」
男は息を吐きながら言うと、望月はまったく追い詰められたのは思っていない表情をしていた。
「追い詰められたのが俺だって? 笑わせるなよ」
槍を構え直した望月は、哀れむように男を見る。
「これで終わりだ!!」
男は最後の一撃を繰り出した。
「だから甘いって言ってるんだ」
望月は男の攻撃は槍を使って受け止めて膝を使って衝撃をいなして受け流した。
そして、しゃがんだ状態から槍で足払いをすると。
「なっ!」
望月の攻撃で完全に態勢を崩した前のめりに倒れこむ。
「ぐっ」
男はそのまま倒れこむと場外で負けと直感して慌てて木刀で身体を支える。
「ほほ〜、よく場外しなかったな」
「けっ、お前の思い通りになるかよ」
「あっそ」
望月は持っていた槍で一突きして男を場外に落とした。
「勝者、望月!!」
望月たちがいるフィールドの審判が望月の勝利宣言をする。
「くっそ〜〜、このくそ餓鬼が!!」
そう言って男はフィールドに上がって望月に向かって殴りかかる。
「はぁ〜、往生際が悪いやつだな…」
望月は男に対して戦闘体制の槍を構えた。
「うぉぉ〜〜〜」
男は望月の構えも気にせずに猛進してくる。
「巌(がん)・双牙衝(そうがしょう)」
そう呟くと男は吹き飛ばされた。
望月の攻撃はあまりにも素早く鋭い攻撃だった為に男には見えていなかった様で直撃していた。
「まったく、大人しく負けを認めて貰いたいものですよ」
「ぐはっ……。き、貴様、何者だ!」
「この後、誰かが相手することになる無影だ」
無影は控え席から一瞬で舞台に出てきて望月が相手をしていた敵を吹き飛ばしたのだ。
それを見た対戦相手のチーム驚愕していた。
「う、嘘だろ……。あいつらの強さは半端じゃねぇぞ」
「お、おい次に出る奴は誰だっけ!?」
さすがに焦りだした対戦相手はこそこそと逃げようとするが出入り口は硬く閉ざされていた。
「さぁ、俺の相手は誰だ」
「し、審判」
対戦相手のリーダーが手を上げて審判を呼んだ。
「はい、なんでしょう?」
審判は対戦相手の男たちに駆け寄る。
そして、何やらもめているようだった。
「何でダメなんだよ。理由を言いやがれ!!」
「ですから、第一回戦では途中で棄権することは出来ないと説明を行っているはずです」
「そんなこと、どうでもいいんだよ。俺らは帰らせてもらう!!」
男たちは審判に食って掛かる。
その言い争いに無影が近付く。
「審判、提案があるんだが…いいか?」
「何でしょう?」
「俺一人でそいつら全員相手するって言うのはどうだ?」
その提案に審判と対戦相手も驚く。
「おい…てめ〜、舐めるのもたいがいにしろよ」
さすがにそれを聞いて感に障ったのか男達は無影を睨み付ける。
「そんなに睨んでも怖くもなんともないよ。逃げ腰の人たちにとってはね」
「この糞餓鬼が〜〜」
そう言って男達は舞台に引っ張り出された。
そして、無影に殴り掛った。
「おっと、焦らないでよ。小父さん」
無影が敵の攻撃を避けている光景を見ながら審判は無線で確認を取っていた。
「審判、まだOKでないんですか?」
「少々お待ちください……はい……ええ…」
無線からの声を必死に聞きながら交渉をしている。
「了解しました。無影チームから後一人舞台に4対2であれば許可するそうです」
そう言うと、控え席から誰かが走ってきた。
「よ〜し、暴れるよ〜」
舞台に上がってきたのは猗澄だった。
「あ、猗澄さん、手加減してくださいね」
「うん」
面々の笑みを浮かべながら言う。
(説得力ね〜)
さすがに呆れながら猗澄を見る。
「それでは特別試合開始」
審判が開始の挨拶をすると回避行動から戦闘体制に移った。
「女から狙うぞ」
一人の男がそう言うと2人がかりで猗澄を狙う。
しかし、猗澄はその行動に驚きもせずに対処に移った。
「戦略としては正しいけど、それはある意味で危険な策でもあるのよ」
襲い掛かってくる男たちを軽やかに受け流した。
そして「せい!!」と言う掛け声の後に襲い掛かってくる一人の男が宙に舞い上がった。
「なっ!」
一緒に襲ってきた男が宙に舞っている男を見て驚く。
「驚いている暇はないわよ」
そう言って、もう一人の男に接近して、攻撃の態勢を取っていた。
「これで終わり」
猗澄に襲い掛かってきた二人の男はあっさり敗れた。
「さてと、今度はあんた達だな」
無影を攻撃していた男たちと距離をおいた。
「このヤロ〜!!」
ある程度距離を置こうとしたが一人の男が突っ込んできた。
「ばか、よせ!」
この敵のチームのリーダーだった男が制止の言葉をかけるがその言葉を無視して男は突っ込んでくる。
無影は「ふぅ〜〜」と息を少し吐き、抜刀の構えで集中力を一気に高める。
「貰った!!」
男はすかさずトンファーで攻撃してきた。
しかし、無影はその攻撃の行動を無視して。
「……一閃」
そう呟くと無影は男の後ろにいた。
「な、何をしやが…た」
男はそう言うと持っていたトンファーを落とし倒れた。
「あんたの腹にこの木刀で一撃いれただけだよ」
無影は木刀を肩で担いでもう一人の方を見た。
「残ったのは俺だけか…」
リーダーの男がそう呟く。
「猗澄さんは手を出さないで下さいね」
「え〜、私も戦いたい」
不満そうな顔をしながら無影を見ると、無影の表情が少し楽しそうな表情をしていた。
「……」
無影の楽しそうな表情と真剣な顔を見て猗澄は戦うのを諦めた。
「あんた、あの中で一番できるな」
「それはお互い様だ。お前の名前はなんて言うんだ」
「そう言うお前は、名前を尋ねるなら自分から言うのが筋と言うものだろう」
睨み合う両者は、一旦武器を下ろした。
「そうだな、それじゃ、俺から名前を明かそう。俺の性は鴻(おおとり) 名は滉(こう)だ」
「今度は俺が名乗る番だな、俺の名前は……」
無影が名乗ろうとしたときだった。
「……来る」
無影たちの控え席からその呟く声が無影の耳に届いた。
次の瞬間、無影の目の前の滉と名乗る男の雰囲気が変わったのを感じた。
「無影…離れて」
リオナはそう口にすると舞台に歩み寄る。
「リオナさん、これは俺の戦いです」
リオナの方を少し向いた時だった、離れていた滉が一瞬で無影の所まで近付いていた。
「な!!」
急いで木刀を使って防御をするが滉の一撃は人が持つ力を超えていた。
「いって〜。いったいどうなってやがる」
「離れてって…言ったのに」
そう言ってリオナが舞台に上がろうとする。
「リオナさん、俺を甘く見ないで下さいよ」
そう言ってゆっくりと戦闘体制を取る。
「す〜…はぁ〜…す〜…はぁ〜…」
無影はゆっくりと深呼吸をすると体の内に問いかけた。
(リミッター解除。回避行動を最優先、会心の一撃だけを狙うんだ)
その問いを体に刻み込むように無影は体に力が入れる。
そして、無影の集中力が最高に達した時に滉が攻撃を仕掛けてきた。
(あの距離では避けれない。ココは私があの力を使って…)
「駿足(しゅんそく)」
無影がそう呟くと敵の攻撃をあっさりかわす。
「ちぃ、完全に避けきれなかったか」
そう言うと左の袖が少し破れていた。
「……」
滉は無言のままゆっくりと無影の方を向き。また攻撃を仕掛けてきた。
(さすがに、やばいな…。完全に避けくるつもりのやつを避け切れなかった。こりゃ〜、予想以上にやばいぞ)
そう考えながらも滉の攻撃を紙一重で何とか避けている。
「しゃ〜ないな。使うかね」
無影はバックステップをして滉から離れる。
「一撃必殺!」
右足を思いっきり踏んで、抜刀の構えを取る。
「激(げき)歩(ほ)!!」
俺がそう吼えた瞬間、無影は滉の後ろにいた。
「ふぅ〜、疲れた」
そう言うと、滉は場外に一気に吹き飛ばされた。
「な、何が起きたの」
それの光景を見たリオナは唖然としていた。
「ん? あれが俺の力の一つだぞ。って言うか、知らなかったのか?」
俺は頭を掻きながらゆっくりと舞台から降りる。
「しょ、勝利チーム。無影チーム」
審判がおくればしながら俺たちの勝利宣言をした。
(それにしても、滉の攻撃力と速度…異常だったな。シャドウと何か関係があるのか)
そんなことを考えながら俺たちは舞台から立ち去った。
歓声が沸いている観客席の後方から、俺たちが立ち去った方向を一人の人がいた。その者の格好は深くフードを被って姿を隠しているようだった。
「なかなか、強いですね……。今宵が楽しみです」
そう言いながら通路の奥に消えていった。
そんな事は誰も気付かずに俺たちは歓声を浴びていた。
第二章 増えゆく雫 (3)
そういう事で、無影は武術大会に出場することになったのだ。
「さてさて、ゆっくりと行きますかね」
無影が歩き出したと同時だった。
「おい、そこのアンちゃん」
その駅を出てすぐ目の前にある噴水の縁に座っていた男が話しかけてきた。
「何か用か?」
無影はそしらぬ顔で対応する。
「あんたも武術大会の出場者のようだな」
「それはどうかね。意外と観客かもしれないよ〜」
無影は男を挑発するように言う。しかし男は。
「あっそ。まぁ、出るも出ないもその人の意思に関係ないからね。どっちでもいいや」
「ん? 今の言葉どう言う事だ?」
男が言ったことに無影には疑問思う所があった。
「あんた、この大会に出るのは初めてのようやね」
「それがどうした」
無影は少し機嫌が悪くなったのか、表情が強張っていた。
「それは、私が説明してあげる」
無影の後に紅葉と着いて来た猗澄がニコニコしていた。
「これまた驚いた。アンちゃん、その子はあんたの知り合いか?」
無影の後ろから意外な人物が出てきたので男は驚いていた。
「浪(ろう)牙(が)さん、お久しぶり。いつ振りかな?」
「じょ、譲ちゃん、ホント久々だな。確か、三年振りじゃないかな?」
浪牙と言う男の表情はいっきに明るくなった。
「あれ? そう言えば赤(せき)哉(てつ)さんは?」
「あいつは、風邪だよ。まったく今日に限って風邪なんか拗らせやがって」
「あらあら。置いて来て平気なの?」
さすがの猗澄も心配そうな顔をしていた。
「まぁ、大丈夫だろう。あぁ見えてあいつ俺なんかよりきちんとしてるからな」
そう言いながら威張るように腕を組んだ。
「そんなことより、今さっきの説明をしてもらいたいんだが」
後ろに下がっていた無影が二人に聞く。
「そうだった。えっとね」
「この大会は観客すら対戦者になるんだよ」
駅の入口の方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「お、お前ら」
そこに居たのは無影と猗澄が良く知る人物だった。
「おはようございます」
一人は陽気な口調の男ともう一人は物静かの女だった。
「お前ら、何でこんな所に来てんだ!」
「な〜に言ってんだよ。これでも、俺は剣道部の主将だぜ。こんな面白い大会に出ないでどうするよ」
そう、ケラケラと笑いながら言うと。
「あぁ〜、そういえばお前、お祭り好きだったな。望月(もちづき)」
苦笑いをしながら振り向きそういった。
「それにしても、お前も出場するとは思わなかったぜ。リオナ」
「そうでしょうか…? 私はこういうことは好き…です」
そう言っている、その表情からはスキであると言った感情は見受けられなかった。
「それなら、もう少し好きだって表情をしてくれ」
呆れながら無影が言うと、リオナは少し笑ったような表情を見せた。
「これで…、いいですか?」
その表情を見て。無影は、「はぁ」とため息をつい望月の方を見た。
「それで、話を戻すんだが。何で観客まで戦う羽目になるんだ?」
「おぉ〜、そうだった」
望月は思い出すように手をポンと叩く。
「え〜、なぜ観客も戦う羽目になるかって言うと……」
「言うと…」
俺は固唾を呑んで望月を見る。
「ココから既に大会が始まっていて、選手か観客かの違いがつかないからだって」
「そうなんだよな〜」
それに乗っかるように浪牙が話してきた。
「その証拠に、観客として来た譲ちゃんが、なんと優勝をかっさらって行ったんだよな〜。あん時は驚いたぜ」
かっかっかっ、と笑いながら猗澄の頭を浪牙が撫で回す。
「ん? 待てよ。それじゃ。観客が来ないような。それにこの大会の収益はあるのか?」
「普通だとそう考えるわね」
紅葉は無影と同じ疑問を持っていた。
「その心配は要らないと思うぞ。だってこれって全国放送だし。テレビ中継は初戦からされている。そして、準々決勝から大手企業やらどこかの屋敷の主とかが大勢観戦しに来るしな」
そう望月が説明するとそれに付け加えるように浪牙が話し出した。
「この大会は元々のどこかの企業が主催したイベントだったんだ。でもその実態は、自分たちの身を守るためのボディーガードの選抜だったんだ」
「なるほど、だから観客も出場者と見なすと言う事か。その上に本大会に出場すればそれなりの力があると認められてどこかの学校や企業に目が留まるってことか。しかし、これだけじゃ、こんな大規模な大会は開けないと思うのだが?」
「なんでだ? この大会はほぼ毎年の様に執り行われている。それに周りの連中を見てみろ。どう見ても一般の観客はいない。即ち、どう言う事かわかるな」
無影は何かを納得したように周辺の喫茶店やファーストフードのお店なぞの方を見渡す。
「客がたくさん入ってるな。大会主催はこの町その物が了承していると言う事か」
「ご明察の通り。客は外に出ていれば攻撃されると思い基本的にはどこかに入っていく。しかし、状況は気になるから外の見える窓のある所に入っていく。そして、長時間いても構わないところ、即ちああ言う事だよ」
そう言って望月が指を刺す方向を見ると、そこには委員長の姿が見えた。その委員長がいるのは喫茶店の中だった。
そして、どうやら委員長もこちらに気付いたのか手を振って挨拶をした。
「これで説明は終わり」
そう言ってパンっと両手合わせた。
「そんじゃ、のんびりと俺らも大会の会場に行くかね」
望月がそう言った瞬間だった。
周りにいた人たちが一斉に攻撃してきた。
「どうやら、ここらの奴らは武道家としては礼儀を知ってる人たちだったようだな。よく説明が終わるまで攻撃してこなかったものだ」
望月は、片手で自分よりがたいがいい男の蹴りを担いでいた長い布の巻かれていたモノで受け止めていた。
「貴様、なかなかやるな」
「おっさんもな。だけど俺に攻撃したのは正解だったな」
そう言って無影たちの方を見るように望月が促すとそこには壮絶な風景があった。
「まったく、あいつらはやっぱ桁違いだわ」
そこにあった風景は、無影たちに襲い掛かっていた者達の無残な姿だった。
「ふぅ、急に来たから慌てて対処したけど、大丈夫かな?」
無影は木刀を使い顎に一撃をいれて、猗澄は衝拳を鳩尾に確実に入れ、紅葉は襲ってきた奴の右腕の間接を決め、リオナは延髄蹴りを繰り出していた。
「ついでに言うとおっさんも眠ってな」
そういった瞬間だった。望月に攻撃した男の腹部にドスっと言う大きな衝撃があった。
「がはっ」
望月は、脇差しの柄で一撃を入れていた。
「あんたら、すごいね」
あまりにも光景に浪牙は苦笑いするしかなかった。
「そう? 俺たちは普通に対処しただけだぜ」
無影はあっさり言うと「はぁ」と何かを諦めたような表情で立ち上がった。
「そんじゃ、今回は観客に移るかね〜」
浪牙は近くにあったバックを持ち上げる。
「どうしてですか? いつもは観客じゃなく出場者として来ているのに」
「ん〜、今回は上に行ける可能性が低いなって思ってね」
その表情には寂しそうな表情だった。
「何、言ってんだ。あんただって武道家だろう。そんなにあっさり諦めていいのか?」
その人の力量を見極めた上での発言だったが。
「うるせ〜な、餓鬼が俺の気持ちもしらね〜でやわ言ってんじゃね~よ」
その表情には殺気が混じっていた。
さすがにその殺気に対して危険な感じがしたのか少し下がった。
「餓鬼ども俺とやりあうか」
浪牙は拳を握り締めバックを担いだままだが戦闘態勢を取っていた。
俺は、浪牙が何に対して起こっているのかはわからなかったがココでやらないと俺がやられると思った。
「ふっ、それで良いんだよ。浪牙さん」
俺がそう言って戦闘態勢を取り、殺気を放った。
その殺気に対してまったく動じないで浪牙は俺を見据える。
「なかなかの殺気を出すやないか。だがその気だけがいっちょ前だったら意味無いで!」
「二人ともやめなさい!」
猗澄がそういった瞬間だった。バックを持っていた浪牙が視界から消えた。
「……一」
バックが地に着いた時ひっそりと俺の真後ろからその声が聞こると、俺の側頭部を目掛けて裏拳が繰り出されていた。
それに、反応して直ぐに木刀を持っていない手で裏拳を受け止めると、木刀で攻撃を仕掛ける。しかしその攻撃は空を切り浪牙は元のバックの位置に戻っていた。
「ふっ、やはりダメだったか。一の攻撃を止められてはどうしようもないな」
「あんたもなかなかの筋だぜ。あんた、その型は独学だろ」
俺は浪牙の一撃で独学か否かを見極めた。
「そこまで、分かった奴はお前が始めてだよ」
その表情には、今までの殺気はなく笑っていた。
「行きな、俺はむやみやたらに戦わない主義なんだ。そして、俺はお前たちも大人だからな餓鬼どもに託すぜ」
ニヒっと笑いながらバックを持って駅の方に歩いていった。
「そうそう、言い忘れていたが」
そこにいた全員が浪牙の方を向いた
「今回の大会からチーム制になったから気をつけろよ」
「チーム制って、何人一組なんだ?」
「確か五人一組だったかな」
そう言われて周りを見渡すと丁度五人いた。
猗澄はニコニコ楽しそうに笑い。紅葉は仕方ないと言った表情をしており、リオナはどうでもいいやといった表情、望月は既に分かっていたような表情をしていた。
「はぁ、なんでこうなるかな〜」
俺は呆れ返っていた。
「それじゃ、会場目差して行きましょう」
猗澄の表情は一層うきうきしていた。
それを見てると俺も体が疼くような衝動に駆りたてられた。
「さてさて、ゆっくりと行きますかね」
無影が歩き出したと同時だった。
「おい、そこのアンちゃん」
その駅を出てすぐ目の前にある噴水の縁に座っていた男が話しかけてきた。
「何か用か?」
無影はそしらぬ顔で対応する。
「あんたも武術大会の出場者のようだな」
「それはどうかね。意外と観客かもしれないよ〜」
無影は男を挑発するように言う。しかし男は。
「あっそ。まぁ、出るも出ないもその人の意思に関係ないからね。どっちでもいいや」
「ん? 今の言葉どう言う事だ?」
男が言ったことに無影には疑問思う所があった。
「あんた、この大会に出るのは初めてのようやね」
「それがどうした」
無影は少し機嫌が悪くなったのか、表情が強張っていた。
「それは、私が説明してあげる」
無影の後に紅葉と着いて来た猗澄がニコニコしていた。
「これまた驚いた。アンちゃん、その子はあんたの知り合いか?」
無影の後ろから意外な人物が出てきたので男は驚いていた。
「浪(ろう)牙(が)さん、お久しぶり。いつ振りかな?」
「じょ、譲ちゃん、ホント久々だな。確か、三年振りじゃないかな?」
浪牙と言う男の表情はいっきに明るくなった。
「あれ? そう言えば赤(せき)哉(てつ)さんは?」
「あいつは、風邪だよ。まったく今日に限って風邪なんか拗らせやがって」
「あらあら。置いて来て平気なの?」
さすがの猗澄も心配そうな顔をしていた。
「まぁ、大丈夫だろう。あぁ見えてあいつ俺なんかよりきちんとしてるからな」
そう言いながら威張るように腕を組んだ。
「そんなことより、今さっきの説明をしてもらいたいんだが」
後ろに下がっていた無影が二人に聞く。
「そうだった。えっとね」
「この大会は観客すら対戦者になるんだよ」
駅の入口の方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「お、お前ら」
そこに居たのは無影と猗澄が良く知る人物だった。
「おはようございます」
一人は陽気な口調の男ともう一人は物静かの女だった。
「お前ら、何でこんな所に来てんだ!」
「な〜に言ってんだよ。これでも、俺は剣道部の主将だぜ。こんな面白い大会に出ないでどうするよ」
そう、ケラケラと笑いながら言うと。
「あぁ〜、そういえばお前、お祭り好きだったな。望月(もちづき)」
苦笑いをしながら振り向きそういった。
「それにしても、お前も出場するとは思わなかったぜ。リオナ」
「そうでしょうか…? 私はこういうことは好き…です」
そう言っている、その表情からはスキであると言った感情は見受けられなかった。
「それなら、もう少し好きだって表情をしてくれ」
呆れながら無影が言うと、リオナは少し笑ったような表情を見せた。
「これで…、いいですか?」
その表情を見て。無影は、「はぁ」とため息をつい望月の方を見た。
「それで、話を戻すんだが。何で観客まで戦う羽目になるんだ?」
「おぉ〜、そうだった」
望月は思い出すように手をポンと叩く。
「え〜、なぜ観客も戦う羽目になるかって言うと……」
「言うと…」
俺は固唾を呑んで望月を見る。
「ココから既に大会が始まっていて、選手か観客かの違いがつかないからだって」
「そうなんだよな〜」
それに乗っかるように浪牙が話してきた。
「その証拠に、観客として来た譲ちゃんが、なんと優勝をかっさらって行ったんだよな〜。あん時は驚いたぜ」
かっかっかっ、と笑いながら猗澄の頭を浪牙が撫で回す。
「ん? 待てよ。それじゃ。観客が来ないような。それにこの大会の収益はあるのか?」
「普通だとそう考えるわね」
紅葉は無影と同じ疑問を持っていた。
「その心配は要らないと思うぞ。だってこれって全国放送だし。テレビ中継は初戦からされている。そして、準々決勝から大手企業やらどこかの屋敷の主とかが大勢観戦しに来るしな」
そう望月が説明するとそれに付け加えるように浪牙が話し出した。
「この大会は元々のどこかの企業が主催したイベントだったんだ。でもその実態は、自分たちの身を守るためのボディーガードの選抜だったんだ」
「なるほど、だから観客も出場者と見なすと言う事か。その上に本大会に出場すればそれなりの力があると認められてどこかの学校や企業に目が留まるってことか。しかし、これだけじゃ、こんな大規模な大会は開けないと思うのだが?」
「なんでだ? この大会はほぼ毎年の様に執り行われている。それに周りの連中を見てみろ。どう見ても一般の観客はいない。即ち、どう言う事かわかるな」
無影は何かを納得したように周辺の喫茶店やファーストフードのお店なぞの方を見渡す。
「客がたくさん入ってるな。大会主催はこの町その物が了承していると言う事か」
「ご明察の通り。客は外に出ていれば攻撃されると思い基本的にはどこかに入っていく。しかし、状況は気になるから外の見える窓のある所に入っていく。そして、長時間いても構わないところ、即ちああ言う事だよ」
そう言って望月が指を刺す方向を見ると、そこには委員長の姿が見えた。その委員長がいるのは喫茶店の中だった。
そして、どうやら委員長もこちらに気付いたのか手を振って挨拶をした。
「これで説明は終わり」
そう言ってパンっと両手合わせた。
「そんじゃ、のんびりと俺らも大会の会場に行くかね」
望月がそう言った瞬間だった。
周りにいた人たちが一斉に攻撃してきた。
「どうやら、ここらの奴らは武道家としては礼儀を知ってる人たちだったようだな。よく説明が終わるまで攻撃してこなかったものだ」
望月は、片手で自分よりがたいがいい男の蹴りを担いでいた長い布の巻かれていたモノで受け止めていた。
「貴様、なかなかやるな」
「おっさんもな。だけど俺に攻撃したのは正解だったな」
そう言って無影たちの方を見るように望月が促すとそこには壮絶な風景があった。
「まったく、あいつらはやっぱ桁違いだわ」
そこにあった風景は、無影たちに襲い掛かっていた者達の無残な姿だった。
「ふぅ、急に来たから慌てて対処したけど、大丈夫かな?」
無影は木刀を使い顎に一撃をいれて、猗澄は衝拳を鳩尾に確実に入れ、紅葉は襲ってきた奴の右腕の間接を決め、リオナは延髄蹴りを繰り出していた。
「ついでに言うとおっさんも眠ってな」
そういった瞬間だった。望月に攻撃した男の腹部にドスっと言う大きな衝撃があった。
「がはっ」
望月は、脇差しの柄で一撃を入れていた。
「あんたら、すごいね」
あまりにも光景に浪牙は苦笑いするしかなかった。
「そう? 俺たちは普通に対処しただけだぜ」
無影はあっさり言うと「はぁ」と何かを諦めたような表情で立ち上がった。
「そんじゃ、今回は観客に移るかね〜」
浪牙は近くにあったバックを持ち上げる。
「どうしてですか? いつもは観客じゃなく出場者として来ているのに」
「ん〜、今回は上に行ける可能性が低いなって思ってね」
その表情には寂しそうな表情だった。
「何、言ってんだ。あんただって武道家だろう。そんなにあっさり諦めていいのか?」
その人の力量を見極めた上での発言だったが。
「うるせ〜な、餓鬼が俺の気持ちもしらね〜でやわ言ってんじゃね~よ」
その表情には殺気が混じっていた。
さすがにその殺気に対して危険な感じがしたのか少し下がった。
「餓鬼ども俺とやりあうか」
浪牙は拳を握り締めバックを担いだままだが戦闘態勢を取っていた。
俺は、浪牙が何に対して起こっているのかはわからなかったがココでやらないと俺がやられると思った。
「ふっ、それで良いんだよ。浪牙さん」
俺がそう言って戦闘態勢を取り、殺気を放った。
その殺気に対してまったく動じないで浪牙は俺を見据える。
「なかなかの殺気を出すやないか。だがその気だけがいっちょ前だったら意味無いで!」
「二人ともやめなさい!」
猗澄がそういった瞬間だった。バックを持っていた浪牙が視界から消えた。
「……一」
バックが地に着いた時ひっそりと俺の真後ろからその声が聞こると、俺の側頭部を目掛けて裏拳が繰り出されていた。
それに、反応して直ぐに木刀を持っていない手で裏拳を受け止めると、木刀で攻撃を仕掛ける。しかしその攻撃は空を切り浪牙は元のバックの位置に戻っていた。
「ふっ、やはりダメだったか。一の攻撃を止められてはどうしようもないな」
「あんたもなかなかの筋だぜ。あんた、その型は独学だろ」
俺は浪牙の一撃で独学か否かを見極めた。
「そこまで、分かった奴はお前が始めてだよ」
その表情には、今までの殺気はなく笑っていた。
「行きな、俺はむやみやたらに戦わない主義なんだ。そして、俺はお前たちも大人だからな餓鬼どもに託すぜ」
ニヒっと笑いながらバックを持って駅の方に歩いていった。
「そうそう、言い忘れていたが」
そこにいた全員が浪牙の方を向いた
「今回の大会からチーム制になったから気をつけろよ」
「チーム制って、何人一組なんだ?」
「確か五人一組だったかな」
そう言われて周りを見渡すと丁度五人いた。
猗澄はニコニコ楽しそうに笑い。紅葉は仕方ないと言った表情をしており、リオナはどうでもいいやといった表情、望月は既に分かっていたような表情をしていた。
「はぁ、なんでこうなるかな〜」
俺は呆れ返っていた。
「それじゃ、会場目差して行きましょう」
猗澄の表情は一層うきうきしていた。
それを見てると俺も体が疼くような衝動に駆りたてられた。
今日の気になるニュース
前回、那覇空港での飛行機火災事故の原因となったのは燃料タンクに穴が開いて燃料が漏れ出したことが原因になった模様、何故、穴が開いたのかと言われると、設計ミスか整備不良か何らかの原因でボルトが燃料タンクに刺さり穴を開けてしまったようです。
今後、この事により、設計会社が責められるのか、中華航空の方が責められるのかが決まってくるでしょう。
今後、この事により、設計会社が責められるのか、中華航空の方が責められるのかが決まってくるでしょう。
本日の気になるニュース
本日10時40分に那覇空港にてエンジントラブルにより着陸後にエンジンが炎上した。
乗員は無事脱出したが乗務員が何人か取り残され2名脱出後に未だ2名が脱出していないと報告があり後に脱出したようです。
乗員は無事脱出したが乗務員が何人か取り残され2名脱出後に未だ2名が脱出していないと報告があり後に脱出したようです。

